| ヴォツェック |
1年生最後のプロジェクトは、ヴォツェックというドイツのオペラのセットデザインでした。
1年生全体を通して「森なら森！」「家なら家！」みたいな、
そのまんま、っていうセットを沢山やったので、
もうちょっとストーリーのコンセプトから形にしていこう、というのが今回の目標でした。
「ヴォツェック」は、血も涙もないストーリーなんです。
主人公、ヴォツェックは兵隊さんで（その友達アンドレも兵隊）、「博士」と「大尉」っていうのがいて、
大尉はヴォツェックを小ばかにしてこき使っていてる人で。
ヴォツェックは、本業だけでは恋人、マリーと、たまたまできてしまった息子を養えないので、
博士に人体実験のハムスターとして雇われていて。
一生懸命マリーと息子のためにお金を稼ぐんだけど、
マリーは、あまり会いにきてくれないヴォツェックに愛想をつかして、鼓笛隊長と浮気してしまうのです。
そしてそれがヴォツェックにバレて、彼は気が狂って、マリーを湖のほとりで刺し殺してしまいます。
そして血まみれのまま街に帰って、殺人したことがバレて、彼はあせって湖に帰り、
血を洗い流そうとして、湖におぼれて、死んでしまう・・という話。
全体
一番はじめに劇を読んだ時に浮かんだイメージが、「プラモデル」でした。
なんか、主人公ヴォツェック意外は、みんな「ウソモノ」に思えて。
全員八方美人して、こんがらがっている、というイメージだったので、
床に回転できる板を使って、裏表をイメージしたら面白いかな、と思いました。
これは、1番はじめに作った簡単なステージの模型です。
ちなみに、後ろに見えている照明は、キャンドルです。
登場人物・衣装
衣装のデザインは、「肉体」をイメージしたものです。
プラモデルの資料を色々集めてたら、人間の形のプラモ（色を塗る前の）に色々出会って、
その、一瞬綺麗だけど、実は不気味な感じが気に入ったので。
皮膚を剥いで縫い合わせて作ったような、そんな衣装です。
登場人物は左から、「博士」「大尉」「ヴォツェック」「アンドレ」「マリー」「鼓笛隊長」。
ヴォツェックの衣装は、病院の白衣の衣装と兵隊の衣装を掛け合わせた感じ。
一見綺麗だけど、よく観るとグロい、というのを目指してみました。
全体
今回の舞台の全体の写真です。ちょっと上の角度から。
全体２
奥にある半径の物が、客席です。 真ん中の板のセクションを挟んで２ヶ所に設置。
伝統的な「前の客席から観るお芝居」には向いてないな、と思ったので、こうしました。
木は、血管をイメージしたもので、本当は客席のあたりの上まで枝が伸びて欲しかったんですけど、
時間がなかったので、そこまでできませんでした。
木は、テカテカした安っぽい光沢の赤で、ちょっと濡れているような感じです。
光が当たると少し不気味に光るようにしたかったのです。
フィギア
今回は、本当に時間がギリギリで、フィギアも未完成です。
未完成フィギアのいい所は、まだ身体を全部固めていないので、腕とか足、首が動かせる所
暇にまかせて、コマネチさせたりとか・・思わず遊んでしまったり。
マリーのシーン１
マリーが、殺される前に、聖書を読んでいるシーンがあって。
少し優しい光を取り入れつつ、いやな予感がする感じの雰囲気を出したかったので、
下から黄色い照明を当てて、十字架の形にボードを立てました。
マリーのシーン２
斜めから観るとこういう感じです。
床の動き
ヴォツェックは、博士の人体実験のせいで、数ヶ月、豆しか食べていないので、
色々と幻覚が観えているんです。地面から音が聞こえたりすることも。
そういうシーンは何度か出てくるんですけれど、その「見えない何か」を床の動きで表現したいな、と。
この写真は、スポーツ観戦なんかの「ウェーブ」に近い動きなんだけど、
もっと全体的に「ガタガタッ」っていう感じで一揆に倒れていっても面白いかも。
湖
ヴォツェックが、湖のほとりでマリーを殺してしまうシーン。
青い照明を、床下からと、上から当てました。
湖２
プレゼンテーションで「そのシーンもボードを立てたら」というコメントがあったので、やってみました。
ギザギザの間から、マリーが湖に沈んでいく、っていう演出もいいのでは？というコメントも。
本当は一応ナイフで刺し殺されることになってるんだけど・・・。笑
大尉
大尉とのシーンは、兵隊が整列してるようなイメージで。
手前からかなり強くライトを当てています。
番外編
上のシーンの写真を撮ろうと思って、フィギアに光を当てたら、
その光が、シャッターを切った瞬間ぶれて、こんなことに。
フィギアが歩いているように見えて、なんか面白いですね。
上から
床を倒して、上からとってみました。チェス盤みたい。
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