_______ステージ・モデル_______
The Visit


3年生のはじめの課題。
ドイツ人の脚本家、フレドリック・デュレンマットによる、
ブラックユーモアな芝居、「The Visit」がテーマ。

ヨーロッパのある国にある「グウェレン」は
電車の駅もなくなってしまったほどの、小さな貧しい町。
グウェレンの人々は、廃止になってしまった工場を再開して、
なんとか再び豊かな暮らしができないか、と日々悩んでいます。

そこにある日、大富豪のクレア・シャザネシアンが訪れます。
彼女はこの町で生まれていて、何十年もの不在の後に帰省します。
町の人々は、彼女が町おこしをしてくれる事を密かに期待し、盛大に彼女を歓迎します。
彼女はその町の人々の期待に、ある条件によって承諾します。
その条件は殺人。
彼女の初恋の相手、アルフレッド・イルを、町の誰かが殺すこと。

「誰かがイルを殺すだろう。そして町は再び豊かな暮らしを取り戻す」。
町の人はそれぞれ、密かにそれを信じています。
借金を作って、商店は品物を揃え、建物に新しくネオン入りの看板を取り付け、
葉巻を1つ高いグレードの物に変える者や靴を買いかえる者、
銀歯を金歯につめかえる者・・色々な人があらわれます。
いつ、どこで、誰に殺されるのか分からない不安で狂いそうなイルと、
彼をどう支えてよいのか戸惑う彼の妻、娘と息子。
物欲に目がくらみ、どんどんおかしくなっていく町の人たち
そして、そんな彼らを冷めた瞳で見つめるクレア自身も、
本当はイルに愛されたかったのに、今ではどうにもできず
むなしく夫をころころと変えて、自分の寂しさを紛らわしているのです。

今回の課題は、劇場でセットを組まずに、
ロケーションを選んで、そこでパフォーマンスをする、という内容
私は、ロンドン自然博物館を選びました。
博物館の剥製の動物と、空っぽなグウェレンの人々を結びつけてみたかったのと、
古く、迷路のような構造の建築が気に入ったからです。

とりあえず、このページでは衣装のみを公開しています。
脚本には「時:現在」という指定になっているので、
博物館の建物の雰囲気にあわせた色を使ったり、
服の型は、1920年代の資料を参考にしています。




クレア・シャザネシアン

若い頃に大富豪の男と結婚してグウェレンを出たクレア。
その男が死んでから、空しく再婚と離婚を繰り返しています。
飛行機の事故で、足も手も片方ずつ義足・義手。
ベルベットのツーピースドレス、レースの手袋でブルジョアっぽく。
常に冷めた目で事の成り行きを見つめる、シニカルなヒロイン




執事・ボビーと、夫七世〜九世

なんだか人間味があまり感じられないクレアの執事、ボビー。
ちょっとカンガルーっぽい靴にしたら、ヴィジュアルも動きも
シニカルになるかなぁ、と思い、こうなりました。
肩のところに、昔のテディベアのように、大きいボタンがついています。
隣は劇中で3回変わるクレアの「夫」。
台詞もほとんどないので、同じ役者を使う設定です。
ハリウッドの映画のような「完璧なダンディー」な仮面の左目から、
疲れた初老の男の素顔が見えます。
少し破れた肘や肩からは、綿がはみ出ています。




盲目の二人・コビー&ロビー

本名があるにもかかわらず、クレアに「コビー&ロビー(Loby)」と呼ばれている二人。
(多分執事のボビーも、そういう設定なんだと思う。
他にも楽器弾きのトビーとロビー(Roby)がいるが、キャストを省かせてもらっています)
何か事件が起きた時の「証人」としてクレアに雇われているだけといっても過言ではない。
今では個性もなく、ただペアとして扱われている彼らには、
同じ柄と色で、サイズが全然合わない服を着せてみました。




アルフレッド・イル

小さい酒屋を経営する初老の男、アルフレッド・イル。
本を読んだ時は、ひょろっと背が高いイメージでした。
服もくたびれて、色もあまり多くない感じに。




イルの息子・娘・妻

貧しい家計をなんとかやりくりする、くたびれた妻と、
幼いのに働きに出ようとする息子と娘。
(はじめ、何も考えずに「イルの子供ねぇ・・」と思い、
5歳児くらいの男の子のイラストを描いてしまい、慌てて消しました。)
これも素朴な感じで。ドレスは1920年代の資料を参考にしています。




市長・校長

クレアに「条件」について公証しに行く事が多い二人。
でもなんとなく「お前が言えよ・・」「いや、お前が・・」という雰囲気。

この衣装から下は全部、剥製のイメージでデザインしました。
左の市長は黒豚、右はウサギの毛皮のコートですが、
毛皮は大きな縫い目を入れて、ブルジョアっぽいイメージをできるだけ消したいです。
左胸の傷は、心(魂)を抜き取られた傷跡




絵描き・医者

町の人々が金持ちになったら、絵を買ってくれるかもしれない、と、
劇の途中からいきなり元気になる絵描きと、
古い愛車を乗り回す、やぶ医者っぽい雰囲気のおじいちゃん。
医者は、羊の皮のイメージで。




神父

不安でたまらないイルが相談しにいく人々の中の一人、神父。
イルよりも若い彼は、なかなかとりあってくれません。
薄いカピカピの鰐皮の衣装に、動物の骨で作った十字架を下げて。




グウェレンの人々

いわゆる劇中のエキストラ、です。
30人くらい、こういう格好の人を出して、 「群れ」で台詞を言ったり、動いてもらったり。