_______ステージ・モデル_______
負けるが勝ち



今回のセットの難しかった所は、転換の多さですね。
主にハードキャッスル家で、途中でトニーの酒場に、
そのあとまた家に戻って、最後は庭まで出てきちゃいます。

劇を読んでいる時に、先に浮かんだのは、ヴィジョンより、音・・というか、
田舎の旧家で、普段お客が来るのに慣れていない召使たちが、
常に走り回ったりドアをバタバタ開けたり閉めたりしている感じでした。
それを、そのままステージの上に出したかったんで、暗転はナシ。
表情が変わるカラクリ家具や、パネルの変化を、
劇ではキャストされていない、メイドや召使が沢山出てきて、
その人たちが移動するという風にしたかったんです。





一番はじめのシーン

都会でのトレンドだけが気になってるミセス・ハードキャッスル。
このテレビの前でだけ、彼女は現実を忘れられるのです。
まわりを暗くしておくことで、全体にライトが当たった時の、
家の雰囲気と、彼女の世界のギャップを出す演出。







家全体

壁紙も、カーテンも床も微妙に色がマッチしないんだけど、
それでも、これが好きで、ずっと洗濯したり綺麗にして使っている、
という、ミスター・ハードキャッスルの、古きものへの愛情たっぷりの家。
壁の上の方は、古い感じのテクスチャーをつけてあります。
一番うしろの花柄パネルは、なんか田舎っぽい雰囲気が欲しかったので、あとで足しました。




クローズアップ

天井まで張った本棚と、窓のない壁のカーテンは、
70年代インテリアのリサーチの途中にみた写真から、そのままとりました。
カーテンの生地は、小さい柄で、なおかつ70年代っぽいのを探し回りました。
大きい柄だと、模型にした時、巨大な柄のカーテンになっちゃうんですよ;




ケートの後姿


この後ろの右側に見えている木製キャビネも、カラクリの一部。




本棚

本を本棚に戻すケート。
本棚は、ハードキャッスル夫婦の趣味の違いをあからさまに出したかったので、真ん中に置きました。
ミスターハードキャッスルは、表紙が厚くて難しい本ばっかり読んでて、
何でも全巻そろえるのが好きで、しかもそれをきちっと仕舞うけど、
ミセスハードキャッスルは、雑誌ばっかり読んで、しかもそれをあらゆる角度から本棚につっこむ・・
という、二人の性格の違いが出てる感じにしたかったのです。
この写真の左に、ちらっと写っている黒っぽいテーブルも、カラクリの一部。




カラクリ本棚

トニーの酒場のシーンに変わる時、この本棚をメイドがひっくり返しに来ます。
真ん中から上下に割れて、くるりと回転して・・・




カラクリ本棚

・・ジュークボックスとポスターが現れます。





ジュークボックス

酒場のシーンのど真ん中にあるジュークボックス。
トニーの衣装の色に少し似ています。
キラキラした感じ、というよりは、ギラギラしてて、いやらしい感じにしたかったんです。笑




木製キャビネ、変身後

上の段の開き戸・・と見せかけてた物が、スライドダウンして、
ボトルが沢山出てきます。
(ボトルは「食堂」のプロジェクトのを代用。笑)
この前にカウンターを持ってくれば、バーの完成☆





テーブル

このテーブルは、上が二つに開いてビリヤード台に変身。
足の幅も、スライドして変わります。





酒場

家の時の、一番左のパネルが飛んで、酒場の入り口のパネルが入ってきます。
トニーが歌を歌うシーンがあるんだけど、
それは、ビリヤード台の上で、ジャイアン・リサイタルみたいな感じでやって欲しいですね。笑




酒場の入り口

入り口の後ろの花柄パネルに、汚い緑っぽい光を当てて。
道に迷って入ってきた。マーラーとヘイスティングスがここから現れる時に、
あまり歓迎されてないよそ者、という感じにしたいです。




ケートの部屋

劇では本来指定されてなかったんだけど、
ケートも結局、強がっていながら、マーラーに一目ぼれする女の子で、
彼女の強い面だけでなく、乙女な面も出してあげたいな、と思って、女の子っぽい部屋にしました。




ケートの部屋

ケートがメイドに、女中のふりをしてマーラーを落とす、
というプランを打ち明ける場面なんかを、この部屋でやる事にしました。
はじめはエプロンはしていなくて、
このクローゼットを開けて、中に入って、出てきたらメイド姿になってる、という演出にしたいんです。
クローゼットの中も、壁紙の色とそろえて、
壁の中に消えてっちゃいそうな感じにしました。




森のシーン

劇の最後のクライマックスで、「森」のシーンが出てきます。
実は、家の裏庭で、全員裏庭だって知ってるのに、
トニーがミセス・ハードキャッスルとコンスタンスを馬車に乗せて、家のまわり回りまくって、
密かに家に戻ってきたせいで、
ミセスハードキャッスルだけ、道に迷った、と思い込んでいるシーン。
家具を全部とっぱらって、花柄のカーテンをしめてます。
家のパネルをここまでしても使いたかったのは、
「実は家の、すぐ裏だよ」ってのを、強調したからです。




森のシーン

照明は、きったなぁ〜〜い感じの緑で。
イメージとしては、雨で庭もドロドロしていて、
ミセスハードキャッスルのファッショナブルワンピースも、どろどろ・・という感じ。




ケートのフィギア

ヒロイン、ケートは、プロジェクトの一番最後に3時間くらいで作りました。
足に最初、ペンで編み模様を描こうかなぁ、と思ったんですけど、
タイツの網目がストレッチした感じは出せないかなぁ、と思い、
実際に網の生地を貼り付けてあります。
エプロンの裾のレースと、エプロンの丸いところも布で、蝶ネクタイは黒い縫い糸。
あとは粘土に色をつけただけです。
足の形は、ドナルドダックの恋人、「デイジー」のイメージで作りました。笑




ミセス・ハードキャッスルのフィギア

髪をいつもポニーテールにしてる人って、生え際からハゲるじゃないですか。
その感じを街で結構観察したりして、作りました。
サンダルにしようか、スリッパにしようか迷ったんですけど、
「家の中でオシャレしたってしょーがないわよ」っていう
「がんばってるけど、やっぱり“おばちゃん”」な感じを出したくて
金色のラメつきの、ピンクのスリッパにしました。
退屈してる雰囲気の、顔の表情は、衣装スケッチよりも模型の方が出てるかも。笑





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