負けるが勝ち

オリヴァー・ゴールドスミスの『負けるが勝ち』(副題:『一夜のあやまち』)という劇のデザインをやりました。
18世紀イギリスの旧家、ハードキャッスル家を舞台にしたコメディーで、
家の主、ミスターハードキャッスルが、娘ケートのお見合いをアレンジした所で劇がはじまります。
婚約相手は、知り合いの息子でドラ息子、マーラー。
彼は、自分より下の階級の女には難破な態度なのに
同じ階級の女の子の前では急にシャイになってしまう。
それを知ったケートは、家の「女中」になりすまして、マーラーを落とす事を決意する。

一方マーラーは、親友へイスティングスをお供に、都会から田舎のハードキャッスル家にくる途中、道に迷ってしまう。
道を聞こうとして入った酒場にたまたまいたのは、
ミスター・ハードキャッスルの後妻の息子の天邪鬼、トニー。
ケートのお見合いの話を知っているトニーは、
「迷ったなら今晩はうちに泊まっていけばいいよ」といって、
ハードキャッスル家を宿として紹介してしまいます。

お見合いの相手がいる家だとは知らず、宿にいるつもりですっかりリラックスしてしまうマーラー。
女中の演技でマーラーを落としかけるケートですが、
マーラーの大胆な態度に、ミスターハードキャッスルは激怒です。

一方、両親を失ったためにハードキャッスル家でケートと共に育てられた、コンスタンスは
内緒で遠距離恋愛していた相手、ヘイスティングスに家の中で出くわしてしまいます。
マーラーの状況を握ってしまったヘイスティングスとコンスタンスは、駆け落ちを計画しますが、
コンスタンスの遺産の宝石目当てに自分の息子、トニーと婚約させようと必死なミセス・ハードキャッスルに邪魔されます。
ただ酒場で浴びるように酒が飲めれば幸せな男、トニーも、
コンスタンスと婚約させようとしてくるミセス・ハードキャッスルにうんざり。
駆け落ちに協力して、コンスタンスを追っ払おうとします。

かなりのドタバタがあった後、結局ケートは本性をばらし、
マーラーは、女中だったから惹かれたのではなく、
ケート自身に惹かれた事に気づきます。
コンスタンスとヘイスティングスは恋仲をまじめに打ち明け、婚約を認めてもらい、
トニーは飲んだくれの人生を維持できる事になりました、という話 です。
今回は、たまには自分自身にチャレンジを、と思い、
セットと衣装の設定を全て1970年代に設定しました。
衣装のデザイン画は全て、顔と手以外は、雑誌から服の生地をコラージュして作ってあります。
今までも部分的に布とかのコラージュは使ったりしてたんだけど、
一番自分には簡単で、ベストな方法が、今回のこれで、やっと見つかったかな、と思いました。





Marlow&Kate(マーラー&ケート)

ドラ息子で世間知らずのマーラーには、
パッと見優等生っぽいけど、素材で遊んでる感じにしました。
靴も、わに革!!です。
お父さんの「女中並に地味な格好をしてほしい」という願いを常に聞き入れるケート。
メイドの衣装のリサーチしている時点で、ポルノ画像が沢山出て着てしまった事をきっかけに、
ちょっとだけ色っぽい方向に進みました。
スキャンで消えちゃったけど、スカートはベロア、シャツは真ん中にレースがついています。
ミスター・ハードキャッスルとマーラーが、彼女に求める物のバランスが難しかったかな。






Mr&Mrs Hardcastle(ミスター&ミセス・ハードキャッスル)

ミスター・ハードキャッスルは、常にソファに埋もれている感じの素材の衣装をデザインしました。
ズボンもクタクタで、セーターも網目が大きいやつ。
ミセス・ハードキャッスルは、ファッション誌を読み漁る「おしゃれさん」
・・のつもりなんだけど、なんか違うよね、という設定だったので、
「ファッショナブルなんだけど、体格に合わない服」を考えました。
クロスになっている模様が、体型に合わせてストレッチして、
サンダルも「丸大ハム」みたいになってしまって、
実はそんなに太ってないのに、太って見えるように工夫しました。






Tony(トニー)

お酒大好き、大騒ぎ大好きなトニー。
血のつながりがあるのは、ミセス・ハードキャッスルと、ちょっと顔を体型も似せました。
イメージとしては、エルトン・ジョンっぽいかな?
今回は衣装を先にデザインしてから模型をやったんですけど、
彼の第二の家である酒場に置くジュークボックスを作り終わった時、
「ああ、なんだかトニーの衣装に似てる」と、なんとなく思いました。
意識して作ってなかったので、自分でも興味深かったですね。笑






Constance&Hastings(コンスタンス&ヘイスティングス)

養子でありながら実は「血統書付き」を持つお嬢、コンスタンスには、
上品な青を。全体的にケートよりも愛らしい感じで作りました。
ワンピースは、70年代ファッションのリサーチで見た服を真似て作ったんだけど、
これ、ちょっと自分でも本当に欲しいなぁ・・・。笑
ヘイスティングスは、お見合いにくっついてきただけで、
まさか彼女に会えるとは思ってなかったよ!というカジュアル感を出したくて、ジーンズにしました。






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